牛乳がわかるQ&A
牛乳の安全性
-
58.牛乳に農薬や抗生物質が残っている心配はない?
牛乳に農薬や抗生物質が残留していることはありません。農薬や薬剤には、国で決めた使用基準と残留基準があります。輸入される飼料は、厳しい検査をパスした国の基準に合ったものしか乳牛には与えられていません。国内では2006年から食品に残留する農薬等への「ポジティブリスト制度」が導入され、以前にも増して安全な生乳が供給されるようになっています。万一、農薬や薬剤の残留の疑いがある 場合には、生乳等の段階での検査でチェックされますから、製品に含まれる危険性はありません。 抗生物質については、乳等省令で厳しく規制され、飼料への添加は禁止されています。抗生物質の使用が認められているのは、乳房炎、肺炎、外傷などの治療時に限られています。その場合も、乳等省令で「乳に影響のある薬剤を服用させ、または注射した後、その抗生物質が乳に残留している期間中のものは、出荷してはならない」と規定されています。さらに、検査は酪農家から出荷されるときと工場で受け入れるときに毎回実施されています。特に抗生物質のチェックは厳しく、万が一抗生物質が検出された場合には、集められた牛乳は廃棄処分されます。なお、わが国では成長ホルモンの投与は禁止されていますから、牛乳に成長ホルモンが含まれることはありません。
-
59.牛乳がBSEに対して安全なのはなぜ?
WHO(世界保健機関)やOIE(国際獣疫事務局)などの国際機関は、牛乳・乳製品のBSE(牛海綿状脳症)に対する安全性をはっきりと認めています。WHOの専門家会議報告によれば、ヒトを含むあらゆる動物の海綿状脳症(プリオン病)を対象とした検査から、牛乳・乳製品は明らかにBSEを伝達しないとしています。国際機関 による評価やこれまでの研究成果をふまえて、厚生労働省や農林水産省も牛乳・乳製品は安全であると明言しています。 その根拠は、BSE感染牛のさまざまな部分をマウス脳内に接種する試験で、脳、せき髄、眼、回腸遠位部(小腸の最後の部分)、末梢神経節および骨髄以外の部位で感染が確認されなかったことです。また、BSE感染牛の乳を飲んで育った子牛がBSEに感染した例がないからです。
-
60.牛乳の安全性確保のために何がなされているの?
酪農家は品質の良い生乳を得るために、牛一頭一頭の健康管理に注意を払っています。 健康な乳牛から搾乳された生乳が汚染されないようにするとともに、冷却、貯蔵された後、アルコールテスト(鮮度判定試験)などを受け、集乳されます。その後、牛乳工場に運ばれ、まず成分、細菌数、抗生物質、残留農薬などの受乳検査が行われます。 次に、遠心分離機で小さな目に見えないゴミなどの異物 が除去されます。生産ラインでも一定時間ごとに抜き取り検 査が行われ、出荷前には、官能検査のほか、微生物検査、包装品質など、さらに厳重な検査が行われています。
近年、HACCP(ハサップ)システムを導入している牛乳工場が増えています。HACCPとは、Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析および重要管理点)の略称で、米国の宇宙食の生産向けに開発されたシステムです。原料の受け入れから商品の完成までの一連の製造プロセスにおいて、特に厳重に管理すべき部分を設定し、その部分を集中管理して管理内容を記録することによって、食品の安全性を確保する方法です。
日本では、総合衛生管理製造過程として、1998年7月から、HACCPシステムで管理された牛乳・乳製品に、厚生労働大臣認証を表示しています。牛乳工場から出荷された牛乳は、量販店や宅配店に搬入されて消費者の手元に届くまでの流通段階では、保管冷蔵庫やショーケースで10℃以下に温度管理すること、および日付管理を徹底することが法令で義務付けられています。
出典
社団法人 日本酪農乳業協会 牛乳・乳製品の知識